猫の「蚊アレルギー」をご存じですか?~蚊刺咬性過敏症について~

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犬や人間と同じように、猫も蚊に刺されることでアレルギー反応を起こすことがあります。猫の皮膚のアレルギー疾患といえば「ノミアレルギー性皮膚炎」や「食物アレルギー」がよく知られていますが、蚊によるアレルギーは意外と見落とされがちです。今回は、猫の飼い主さんにも知っていただきたい「蚊刺咬性過敏症」について詳しくご紹介します。

蚊刺咬性過敏症とは?
蚊刺咬性過敏症とは、蚊の唾液に含まれるたんぱく質に対して猫の免疫が過剰に反応してしまう皮膚アレルギーです。人間も蚊に刺されるとかゆみや赤みが出ますが、猫がアレルギー体質の場合,その反応が強く出てしまい、つらい症状が続くことがあります。
この症状は、蚊が活発に活動する春から秋にかけて発生しやすく、外に出る猫に多く見られるといわれています。しかし、蚊は窓や玄関のちょっとした隙間からも家の中に侵入できるため、完全に室内で飼っている猫でも発症する可能性があります。

 主な症状
蚊アレルギーによる症状は、耳介部、耳前部、鼻、肉球など被毛が薄く吸血しやすい部位に現れます。
・皮膚の赤み(紅斑)やブツブツ(粟粒性皮膚炎)
・かさぶた(痂皮)やただれ(びらん、潰瘍)
・強いかゆみ





診断
特徴的な症状や発症時の環境や季節などから疑います。
・症状が春から秋の蚊の多い季節に出ているか
・猫が屋外に出る習慣があるか
・顔や耳、肉球など特定の部位に症状が集中していないか
他の皮膚疾患の除外のために必要に応じて検査を行います。

 治療方法
治療は、主にかゆみや炎症を抑える対症療法が中心です。
【主な治療法】
・ステロイド剤の投与(内服薬や外用薬)
治療を行うことで多くの猫は比較的早く症状が改善しますが、再発を防ぐことが最も大切です。

予防方法
蚊アレルギーを防ぐためには、日常的に蚊の吸血を阻止することです。
・完全室内飼育を徹底する(最も効果的な予防法)
・蚊の侵入を防ぐ:網戸を閉める、窓の隙間を塞ぐ、蚊取り器具やペット用の蚊よけを活用
・蚊が多い時間帯(夕方〜夜間)に外出させない

 さいごに
猫の「蚊刺咬性過敏症(蚊アレルギー)」は、春から秋にかけて発症しやすい代表的な猫の皮膚病のひとつです。早期に発見して治療を行えば症状をコントロールできますが、再発を防ぐためには日頃からの蚊の対策が欠かせません。
「猫が顔や耳をかゆがっている」「原因不明のブツブツやかさぶたがある」など気になる症状があれば、早めに当院までご相談ください。大切な愛猫が夏を快適に過ごせるよう、適切な予防とケアでサポートしていきましょう。