【獣医師監修】猫の去勢手術は必要?メリット・デメリット、適した時期を徹底解説

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「愛猫に去勢手術を受けさせるべきか悩んでいる」 「いつから手術ができるの?」

 猫の去勢手術は、すでに多くのご家庭で行われている一般的な手術です。
一方で、「本当に必要なの?」「体に負担はないの?」と迷われる飼い主さんも少なくありません。

去勢手術には多くのメリットがあり、猫ちゃんが人間社会で幸せに暮らすための重要な選択肢です。この記事では、獣医師の視点から「猫の去勢」に関する必要性、メリット・デメリット、適切な時期などについて詳しく解説します。

猫の去勢手術とは

去勢手術とは、精巣を摘出する手術のことを指します。

猫に去勢手術は必要なのか

 繁殖の予定がないのであれば、医学的・行動学的観点から去勢手術を行うことには多くのメリットが考えられます。

去勢手術は単に「子供を作らせない」ためだけのものではなく、発情に伴う猫自身のストレスを軽減し、特有の病気を予防することで、結果として寿命を延ばすことにも繋がるからです。

「室内飼いだから必要ない」と考える方もいますが、発情期の行動(大きな鳴き声やマーキング)は、室内飼いであっても猫と飼い主様双方にとって大きな負担となります。

去勢手術のメリット(医学的・行動学的効果)

 手術には多くのメリットがあります。 

 ・望まれない繁殖を予防できる

去勢手術を行うことで、計画していない繁殖を防ぐことができます。
これは、猫自身だけでなく、社会全体にとっても大切なポイントです。

 ・生殖器の病気を予防できる

去勢を行うことで、潜在精巣や精巣腫瘍など生殖器の病気の予防になります。 

 ・性ホルモンに関連した問題行動の軽減

オス猫特有の闘争本能が和らぎ、性格が穏やかになる傾向があります。 同居猫との喧嘩が減ることはもちろん、万が一脱走してしまった際も、外猫との激しい喧嘩による怪我や、そこから感染する「猫エイズ(FIV)」や「猫白血病(FeLV)」といったウイルス感染症のリスクを下げることにつながります。

また、去勢手術により「スプレー行動」を軽減することも期待できます。「スプレー行動」は雄猫や雌猫で見られるコミュニケーション行動の一つで性ホルモンの関連やストレスなどによって行われます。そのため、去勢手術により「スプレー行動」が改善する可能性があります(87%のネコで改善が見られたと報告あり)。

 ・寿命が延びる傾向にある
統計的に見ても、去勢手術を受けた猫は、受けていない猫に比べて平均寿命が長い傾向にあります。これは生殖器疾患の予防に加え、闘争による怪我やストレスが減ることが要因と考えられています。

去勢手術のデメリットとリスク管理


メリットだけでなく、デメリットについても正しく理解し、対策することが大切です。
 ・太りやすくなる(肥満)
最も一般的なデメリットです。精巣を摘出すると性ホルモンがなくなり、基礎代謝が約30%低下すると言われています。それにもかかわらず手術前と同じ食事を与え続けると、カロリーオーバーになり肥満になります。

 対策: これは「手術の副作用」というより「管理の問題」です。術後は「避妊・去勢後用」のフードに切り替えたり、給餌量を適切に減らすことで予防可能です。

 ・全身麻酔のリスク
現代の獣医療において麻酔の安全性は飛躍的に向上していますが、リスクはゼロではありません。稀に麻酔薬に対するアレルギー反応や、隠れていた心臓疾患などが影響することがあります。

対策: 手術前の「術前検査(血液検査やレントゲンなど)」をしっかりと行うことで、リスクを最小限に抑えることができます。

 ・繁殖能力は元に戻らない
一度手術をすると、二度と子供を作ることはできません。「やっぱり1匹だけ残したかった」と後悔しないよう、ご家族でよく話し合ってから決断してください。

去勢について不安に思うこと

多くの飼い主様が抱える不安について、獣医師がお答えします。

Q.手術は痛くないの?
A.手術中は全身麻酔で行い、麻酔薬と痛み止めを併用しなるべく痛みを感じないように手術を行います。術後については、痛み止め(鎮痛剤)の注射や飲み薬を処方し、痛みのケア(ペインコントロール)を徹底している動物病院がほとんどです。

Q.性格が変わってしまう?
A.性格そのものが変わってしまうことはあまりありませんが、発情に関連した落ち着きのなさや攻撃的な行動が減り、穏やかになったと感じることはあります。


去勢手術に適した時期:いつからできる?

一般的に推奨される時期は、生後56ヶ月齢の性成熟前に行うことが理想です。

Q.なぜ「生後6ヶ月」なのか?
A.猫が性成熟を迎え、発情の兆候が出始めるのが生後6ヶ月〜10ヶ月頃だからです。性成熟前に去勢手術を行うことで、スプレー行動や他の猫に対する攻撃的な行動が起こりにくいという利点が挙げられます。

Q.成猫になってからでも遅くない?
A.はい、成猫になってからでも去勢手術は可能です。
すでにスプレー行動などが見られる場合でも、手術によって改善するケースは多くありますが完全には改善しない場合もあります。また、年齢によっては基礎疾患により麻酔のリスクが高くなることも考えられます。

※成長スピードには個体差がありますので、ワクチン接種の際などに獣医師に相談し、その子にベストな時期を見極めることが大切です。

推奨時期について たいち動物病院では、猫ちゃんの体格や成長具合に合わせた最適な手術時期をご提案しています。詳しくは避妊・去勢手術のご案内をご覧ください。

まとめ:去勢手術は愛猫への「健康のプレゼント」

去勢手術は、望まない繁殖を防ぐという社会的なマナーであると同時に、愛猫を病気やストレスから守るための「予防医療」です。

猫の去勢手術は多くのメリットがあることに対して、デメリットはわずかなものであると考えられます。重要なのは、「手術をする・しない」を一律に決めるのではなく、
その子の性格、生活環境、飼い主さんの考え方を踏まえて判断することです。

たいち動物病院では、去勢手術の必要性やタイミングについて、飼い主さんと一緒に考えることを大切にしています。
ご不安やご質問があれば、どうぞお気軽にご相談ください。