2026/03/18
「愛猫に去勢手術を受けさせるべきか悩んでいる」「いつから手術ができるの?」
猫の避妊手術は、すでに多くのご家庭で行われている一般的な手術です。
一方で、「本当に必要なの?」「体に負担はないの?」と迷われる飼い主さんも少なくありません。
避妊手術は、「子猫を増やさない」ためだけではなく、メス猫特有の病気を防ぎ、発情期の大きなストレスから解放してあげるためにとても大切だからです。
この記事では、獣医師の観点から「猫の避妊」に関する必要性やメリット・デメリット、適切な時について、詳しく解説します。
猫の避妊手術とは
猫の避妊手術は、メス猫の卵巣や子宮を摘出する手術のことを指します。
猫に避妊手術は必要なのか
現代の生活環境で猫ちゃんが健康に、そして穏やかに暮らすために、避妊手術はとても重要です。
猫には「閉経」がないため、シニアになっても発情期がやってきます。しかも、交尾をして排卵しない限り、何度も何度も発情を繰り返す動物です。
猫ちゃんにとって想像以上の体力消耗とストレスになります。食欲が落ちて痩せてしまう子も少なくありません。
室内飼いでも手術が必要な理由
発情期のメス猫は、オス猫を呼ぶために赤ちゃんが泣き叫ぶような大きな声(発情鳴き)を出したり、スプレー行動など排尿回数が増えたりします。
手術をしてあげることで、こうした発情行動によるストレスから解放し、お家の中でリラックスして暮らせるようにしてあげることは、飼い主様にしかできない大切なケアのひとつと言えます。
避妊手術のメリット
避妊手術には、命を守るための大きなメリットがあります。
・望まれない繁殖を予防できる
避妊手術を行うことで、計画していない繁殖を防ぐことができます。
これは、猫自身だけでなく、社会全体にとっても大切なポイントです。
・生殖器の病気を「予防」できる
避妊手術の最大のメリットは、命に関わる生殖器の病気を防げることです。
- 乳腺腫瘍: 猫の乳腺にできるしこりは、約90%が悪性(ガン)だと言われるほど怖い病気です。
しかし、「初めての発情が来る前(生後6ヶ月頃)」に避妊手術をすることで、このガンの発生率を約90%以上も防ぐことができるというデータがあります。 - 子宮蓄膿症: 子宮内で細菌感染が起こり、膿がパンパンに溜まってしまう病気です。発見が遅れると命を落とす危険がありますが、子宮と卵巣を取る手術をしていれば、この病気になることはありません。
・発情期の大きな鳴き声や、スリスリ行動がなくなる
発情期特有の「アオーン、ウワーォ」といった大きな鳴き声(発情鳴き)や、お尻を高く上げるポーズ、異常なほど体を擦り付けてくる行動がなくなります。 これにより、夜鳴きによる飼い主様の寝不足や、ご近所トラブルも防ぐことができます。
避妊手術のデメリットと注意点
メリットだけでなく、気をつけるべき点やリスクもしっかり知っておきましょう。
・太りやすくなる
手術をするとホルモンバランスが変わり、基礎代謝が30%くらい落ちると言われています。そのため手術前と同じご飯をあげ続けていると、あっという間にぽっちゃり体型になってしまいます。
術後は「避妊・去勢後用」のカロリー控えめなフードに切り替えたり、量を調節してあげれば防げる問題ではあります。
・全身麻酔と「お腹を開ける」リスク
避妊手術はお腹を開ける手術(開腹手術)になります。今の獣医療では安全性はとても高くなっていますが、麻酔のリスクはゼロではありません。
血液検査など術前検査がとても大切です。また、術後は傷口を舐めないように「術後服(お洋服)」や「エリザベスカラー」を着けて、傷が治るまで安静に過ごす必要があります。
・繁殖能力は元に戻らない
一度卵巣や子宮を取ってしまうと、二度と子供を作ることはできません。「いつかこの子の赤ちゃんが見たい」というお気持ちが少しでもある場合は、ご家族でよく話し合ってから決めてください。
避妊手術の時期:いつからできる?
一般的に生後6ヶ月前後と言われています。
Q. なぜ「生後6ヶ月」なの?
一番の理由は、「乳腺腫瘍(ガン)の予防効果」を最大限に引き出すためです。 生後6ヶ月未満で手術をすると約90%の確率でガンの発生率を低下させ、1~2歳では11%、2歳を過ぎると予防効果はほぼなくなると言われています。
Q. 成猫になってからでも遅くない?
はい、成猫になってからでも避妊手術は可能です。「子宮蓄膿症」などの病気予防や、発情ストレスをなくすメリットはしっかり得られますので、「もう大人だから遅い」ということはありません。※成長のスピードには個体差があります。「うちの子はそろそろかな?」と思ったら、ワクチンの時などに獣医師へ気軽に相談してください。
たいち動物病院では、猫ちゃんの体格や成長具合に合わせた最適なタイミングをご提案しています。詳しくは避妊・去勢手術のご案内をご覧ください。
まとめ:避妊手術は愛猫への「健康と安心のプレゼント」
避妊手術は、愛猫を恐ろしいガンや子宮の病気、そして発情のストレスから守るための「予防医療」です。
重要なのは、「手術をする・しない」を一律に決めるのではなく、その子の性格、生活環境、飼い主さんの考え方を踏まえて判断することです。
たいち動物病院では、避妊手術の必要性や、タイミングについて、飼い主さんと一緒に考えることを大切にしています。
ご不安やご質問があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

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